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2009年 08月 21日

「三郷ベジタブル」訴訟判決と問題点

訴えの内容に踏み込まず“門前払い”
     「三郷ベジタブル」訴訟判決と問題点


 安曇野市のトマト栽培第3セクター、安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)=西山馥司会長(副市長)=をめぐり、施設の賃貸借契約などが地方自治法に違反し無効だとし、同社に不当利得返還請求することなどを市に求める住民訴訟(原告・小林純子、藤原浩)の判決が09年8月7日、長野地裁であり、近藤ルミ子裁判長は、損失補償と賃貸借契約の無効確認を求める原告請求を却下、それ以外の訴えも棄却した。原告は判決を納得できないとして8月18日、控訴した。判決内容と問題点をまとめた(報告・横地泰英)。
 
【判決内容】判決は、訴えを三つに分け、①甲事件=旧三郷村が平成15~16年にあずみ農協、八十二銀行との間で締結された損失補償契約に基づき、三郷ベジタブルが負担する債務支払いをしてはならず、被告が無効確認を怠ることは違法であることを確認する②乙事件=被告・安曇野市が平成20年に長野銀行と結んだ損失補償契約に基づき、三郷ベジタブルが負担する債務支払いをしてはならず、被告が無効の確認を怠ることは違法であることを確認する③丙事件=被告と三郷ベジタブルが平成16年に結んだ施設賃貸契約について、被告が無効確認を怠ることは違法である-この原告請求について、甲乙事件の訴えのうち、無効確認を怠ることが違法であることの確認を求める部分の訴え、ならびに丙事件の訴えをいずれも却下。その他の請求を棄却した。

【判決理由】甲乙事件の損失補償契約について判決は、監査請求期間の原告主張を認めたものの、契約そのものが財政援助制限法に反し違法であり無効とする原告主張については、損失補償契約が財政援助制限に違反するものではないと退けた。丙事件で、施設賃貸借契約の住民監査請求期間について判決は、契約を結んだ平成16年4月から1年間とし、請求は期間を徒過し不適法として却下した。

【控訴方針】判決後、駆けつけた原告側の中島嘉尚弁護士は「判決は、訴えの要件をほとんど判断していない。公の施設(トマト栽培施設)の賃貸借契約が地方自治法に違反していることや、安曇野市が三郷ベジタブルから施設使用料をとらないことで同社が不当利得を得ているという、訴えの内容に踏み込んで判断していない。“門前払い”だ。控訴して上級審の判断を仰ぎたい」と述べた。

【判断回避】判決が、訴えの内容に踏み込まなかった部分は
1)公の施設の賃貸借契約は、地方自治法に違反し、無効である
2)施設使用料をとらないことで三郷ベジタブルは年額7千余万円の不当利得を得ている
3)損失補償契約にあたり、十分な経営審査が行われておらず、公序良俗に反し無効-など。

判決は1)について、安曇野市監査委員が怠る事実の監査にあたり、賃貸借が財務会計法規に違反して違法無効であるか判断しなければならない。監査請求は契約締結から1年以上を経過してからなされており、請求期間を徒過し不適法。却下を免れないとした。
原告は4月24日付け準備書面で、「本件監査請求および本訴請求について期間徒過の抗弁は成立しない」と釘を刺したが、判決は被告主張に沿ったものとなった。賃貸借契約の違法性は裁判の重要な争点であり、原告側は、地方自治法違反は明らかで契約無効と主張。被告側は「契約書の賃貸期間、賃借料の表記は指定管理期間、指定管理者からの使用料と読み替えるべきもの」と主張した。この論争にも判決は触れなかった。

2)も「請求期間を徒過」で、却下された。原告側は、施設使用料は起債償還に充てるものであり、使用料が支払われない結果、安曇野市の一般会計(市民の税金)から償還される状況が続いていると主張。被告側は使用料不払いは弁済期がきていないためという主張-これらの争点は結局、判決では触れられなかった。もともと監査請求期間は、原告が安曇野市に請求手続きした際に市が確認すべきもの。いわば手続き問題で、違法な賃貸借契約や施設使用料不払いによる市の財政負担、三郷ベジタブル経営見通しなど、事件の核心にはまったく踏み込まぬまま、入り口で判断を停止した。

3)の三郷ベジタブル経営、さらには第3セクターが不確定な債務を生みがちであることへの判断なども示されなかった。使用料が一度も支払われず、赤字が膨らんでいる現状、さらには弁済期に支払われる見通しなどへの言及もなかった。判決は逆に、「三郷ベジタブルの信用だけでは融資できない場合に地方公共団体による損失補償がされることで融資を行おうとすることはなんら不当なことではない」としている。三郷ベジタブルの危機的なありようを考えると、市民感覚から遠い見方といわざるを得ない。
 
【結び】結局、近藤判決の法律判断は2点に絞られる。①損失補償契約は財政援助制限法に違反せず、民法上の保証契約とは別個の契約類型である②建物等賃貸借契約への住民監査請求は、請求期間1年間を徒過している。①をもって甲乙事件の原告訴えを退け、②をもって賃貸借契約の違法性、三郷ベジタブルの不当利得などへの判断を示すこともなく、原告訴えを却下および棄却した。原告が司法判断を求めた最大の要点は、税金が無駄遣いされているのではないかという疑問だ。年額7000万円を超す建物等使用料は、実質踏み倒される恐れもなしとしない。6年間、累積している赤字は、どう処理されているか。金融機関からの借入金が使われていないか。市が約束している損失補償契約も違法である。判決は入り口にとどまって、これら肝心の訴えの中身に迫らなかった。

 近藤裁判長は判決の中で、地方自治法242条2第1項の請求権にかかわる「怠る事実」とは、公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理をいうところ、損失補償契約や賃貸借契約について無効の確認を怠ることが「公金の賦課若しくは徴収」を怠る事実でないことは明らかである、という法律判断を示してもいる。しかし、なぜ明らかなのか理由が説明されていない。原告訴えの核心は、安曇野市民の税金が、三郷ベジタブル経営に使われており、財務処理すなわち財産管理が不当であるというところにある。損失補償契約や施設賃貸借契約の無効を確認することは、税金の健全な運用、公有財産の維持保全そのものにかかわる。この理由で、甲乙事件の討えを却下するのは不当である。
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by misato_tomato | 2009-08-21 20:27 | 住民訴訟
2009年 08月 21日

裁判報告会&学習会のお知らせ

◆裁判報告会&学習会~なぜ我々は控訴するのか~

 安曇野市のトマト栽培第三セクター・安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)をめぐる住民訴訟の判決が09年8月7日、長野地裁でありましたが、原告請求はいずれも退けられました。法的な判断を避け「門前払い」にした判決です。

 この判決について市長は、「市の主張が認められた・・・」と述べましたが、そもそも裁判所は訴えの中身について判断していませんから「市の主張が認められた」というのは、市側に都合のいい解釈にすぎません。

 原告は、判決を不服として控訴することを決意し、下記のように裁判報告会・三セク学習会を開くことにしました。ぜひご参加ください。

今回の判決の真相と、三セク安曇野菜園の問題について報告します。
また、市長選に立候補予定の3氏を招き、市の三セク問題について聞きます。

*日時:09/9月1日(火)午後6時半より
*場所:穂高会館(安曇野市中央公民館)
※資料代200円をお願いします。
 入場無料・カンパ歓迎


主 催:三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会
問合せ:0263-83-4250(事務局)
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by misato_tomato | 2009-08-21 20:22 | 学習会
2009年 08月 18日

安曇野菜園、6期は3800万円の赤字

旧三郷ベジタブル黒字化計画、初年度でつまづく

 安曇野市のトマト栽培第三セクター「安曇野菜園」(旧三郷ベジタブル=西山馥司会長)の第6期決算は、3800万円の赤字となる見通しが、09年8月18日開かれた安曇野市議会全員協議会で報告された。08年9月~09年8月の同社第6期は、中期経営計画の初年度。省費用型生産で初めて黒字化する計画だったが、しょっぱなからつまづいた。

 西山会長(副市長)、三澤専務らの説明によると、①昨年9月、葉カビ病が発生②今年4~5月、湿度減少で花芽に影響③6月、急な天候変化で花芽4分の1消失。これらの影響で例年より遅く8月まで収穫を続け、黒字の主力になるはずだったプラムを抜いて植え替えせざるを得なくなった。ラウンド、ルビーを含めた三品種で3億7888万円を見込んだ売り上げは、78%の2億9586万円に減った。

 西山副市長は「毎回おわびの繰り返しで申し訳ない。第7期めざして慎重に対応し、全力を尽くす」など陳謝した。3番目に質問した小林純子議員は「売るトマトがない危機的な状況だ。資金繰りはじめ、経営全体に疑問が多い。市が損失補償契約している金融機関からの借り入れは25年までにゼロにする約束なのに、昨年4月1500万円も借入を増やしていた。とんでもないこと。資金繰りと中期計画の見直し、7期の見通しを明らかにせよ」と迫った。

 三澤専務は「中期計画に基づいてしっかりやる。無理な数字ではない」などとラフな説明。二木・市産業観光部長は「損失補償枠内の融資については、事前に市と協議するよう、さきごろ市長から菜園に話をした」などと答弁した。

 安曇野市議会はこれまで、全員協議会の限界もあり、三郷ベジタブルをはじめとする三セク問題で生ぬるい対応が目立った。この日は草深温議員、小林紀之議員、松澤好哲議員などが次々に質問し、①赤字続きで資金繰りはどうなっているか?②8月末の6期決算を見て重大判断をするとの市長約束があるが?③トマト栽培には根本的に無理な施設ではないか?④見通しもない泥沼状態ではないか?など強い口調で説明を迫った。

 しかし詰めは甘く、中には「この事業の目的が地域活性化なり、若者に雇用を生むものだったのなら話は別だが」などと、きな臭い発言もあった。三郷村選出の議員も「地元として10万安曇野市民に申し訳ない。若い職員が育ってきているのが希望だ」などと異例の発言をした。
(報告・横地泰英)
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by misato_tomato | 2009-08-18 23:50 | 情報公開
2009年 08月 07日

速報・判決言渡し、原告訴え2点を却下、その余は棄却

~ 長野地裁・判決は内容に踏み込まず“門前払い” ~

・8月7日(金)13:17 開廷  13:22 閉廷
・長野地裁法廷 近藤ルミ子裁判長
・原告側 小林純子、藤原浩  傍聴人6名
・被告側 傍聴人5名 
・報 道 4社

 判決は、訴えを三つに分け、
①甲事件=被告・旧三郷村が平成15~16年にあずみ農協、八十二銀行との間で締結された損失補償契約に基づき、三郷ベジタブルが負担する債務支払いをしてはならず、無効確認を怠ることは違法であることを確認する。

②乙事件=被告・安曇野市が平成20年に長野銀行と結んだ損失補償契約に基づき、三郷ベジタブルが負担する債務支払いをしてはならず、無効の確認を怠ることは違法であることを確認する。

③丙事件=被告と三郷ベジタブルが平成16年に結んだ施設賃貸契約について、被告が無効確認を怠ることは違法である。

 この原告請求について、甲乙事件の確認を求める部分の訴え、ならびに丙事件の訴えをいずれも却下した。その余の請求はいずれも棄却した。原告は判決を納得できないとして、控訴する方向で検討している。

 判決後、駆けつけた原告側の中島嘉尚弁護士がレクチュアした。
「判決は、訴えの要件をほとんど判断していない。公の施設(トマト栽培施設)の賃貸借契約は地方自治法に違反していることや、安曇野市が三郷ベジタブルから施設使用料をとらないことで同社が不当利得を得ているという、訴えの内容に踏み込んで判断していない。“門前払い”だ。控訴して上級審の判断を仰ぎたい」と述べ、小林原告らが同意した。

 判決は、安曇野市が起債償還するために、三郷ベジタブルが支払うべき施設使用料に相当する年間7200万円を税金で賄っていることや、金融機関からの融資に安曇野市がどのような事情で損失補償しているかについては直接触れていない。
 「三郷ベジタブルの信用だけでは融資ができない場合に、地方公共団体による損失補償がされることで融資を行おうとすることは何ら不当なことではない」と判断している。これ一つ取っても市民感覚からは程遠い判断だと言わざるをえない。
(報告・横地泰英)。

※三郷ベジタブルは旧社名で、現在は安曇野菜園という。
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by misato_tomato | 2009-08-07 22:32 | 住民訴訟