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三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会

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2009年 02月 20日

県農政部指導は?施設賃貸借は違法か?消える税金?

「三郷ベジタブル行政訴訟」浮かび上がる争点

 巨額の累積赤字を抱える安曇野市のトマト栽培第3セクター「安曇野菜園」(旧三郷ベジタブル)をめぐる行政訴訟は、2008年1月18日の長野地裁第1回口頭弁論いらい、1年余を経て計7回の弁論を終えた。ほとんど準備書面のやりとりだけでいたって静かな時間経過だが、ようやく争点が浮かび上がってきた。小林純子議員らの原告主張と、安曇野市(旧三郷村)の被告主張は、考え方、立脚点に大きな差があり、かみ合わない部分が多い。しかし、第3セクターが抱える経営責任のあいまいさ、その中で巨額の税金が消える構造は徐々に見えてきたようだ。項目を分けて、原告被告双方の言い分を整理した。第6~第7回弁論の準備書面による(09年2月、横地泰英まとめ)。

【県農政部の「指導」】
 平成14年12月26日付で長野県農政部農村整備課から三郷村農林商工課三澤課長あての文書(原告提出)。三郷村トマト団地構想について、平成14年事業対応として「事業主体は三郷村とする」と明記されている。

《原告主張》 同文書は、第3者に建物施設を賃貸するのではなく、三郷村が事業主体となるべきことを長野県が要請している。(起債ヒアリングという限定的な主張でなく)三郷村は起債にあたり、長野県から指導を受けた。

《被告主張》本件施設が貸し付けできないと旧三郷村が知っていたという事実はない。県の起債申請ヒアリングの際に、貸し付けできない公共施設に該当すると、訂正するよう指導を受けた事実はない。

【施設の賃貸借契約】
 平成15年1月7日 旧三郷村は起債申請書付属調書で建物施設を㈲あづみ菜園(三郷ベジタブル)に「貸し付ける」とした。
 平成15年2月26日 旧三郷村は起債申請付属調書で「貸し付ける」を抹消し、管理形態を「直営」とした。

《原告主張》県農政部指導がありながら、旧三郷村は三郷ベジタブルに賃貸するとして起債申請し、なおまた「直営」に訂正した。県の指導により管理形態を改めたのは明白。この事実関係から、被告・三郷村は施設を賃貸できないことを十分知っていたはずである。
 にもかかわらず、旧三郷村は平成16年4月1日、三郷ベジタブルと施設の賃貸借契約を締結。さらに平成19年3月30日付、平成20年2月5日付で(合併した)安曇野市が三郷ベジタブルと賃貸借契約変更契約書を締結した。(公共施設を賃貸借関係に置けないことから)以上いずれの契約も違法無効である。

《被告主張》管理形態の「直営」欄に記載したのは理屈の上では誤りで、便宜的な理由。村条例でも施設は指定管理者に「委託」することにしており、ほんらい「委託」欄に記載すべきだったろう。起債申請者・事業主体が村であることから、調書の「委託」と村の「委託」が相違すると考えて直営記載したと考えられる。15年3月時点で直営は考えていない。
 当時、旧三郷村職員の法的レベルは東京都等と異なることを理解しなければならない。起案した職員はおそらく、村以外の第3者が施設を占有管理することから、法的性質を「貸し付ける」と誤解し、貸し付け欄に記載。後日訂正し直営欄に記載されたと推測される(直営記載も誤りだが)。

【賃貸借契約の違法性】
《原告主張》被告は、指定管理者制度が良く理解されていなかったため施設使用料についても建物等賃貸借契約という方式で定められたと主張する。前述経過から不当である。15年1月、2月の起債時点で明確に賃貸借できないことを知りながら直営と申請し、その後平成16年4月1日、賃貸借契約を三郷ベジタブルと結んだ。従って起債は虚偽の内容に基づく。本件各賃貸借契約の締結は、知識不足や読み替えの問題でなく、違法を承知であえて締結したものであるから、契約は違法である。

《被告主張》建物等賃貸借契約は違法でない。平成16年3月、三郷村議会は㈱三郷ベジタブルを指定管理者とする議案を可決した。当時は指定管理者制度に基づく施設使用料の協定書等が一般的でなく、適切な書式を起案できなかったことからやむを得ず、賃貸借契約という形式で使用料を定めた。建物の賃貸借行為には当初から該当せず、賃貸借契約の有効性という原告議論は事実関係に基づいていない。賃貸借契約、賃貸借料という形式ないし文言は違法と認識しつつ用いたのではない。違法性判断は、当事者の真意を探り、合理的解釈すべきである。

【事業負担と起債、税金による補填】
《原告主張》施設建設費用は、計20億円。三郷村の実質的負担は、一般財源から9000万円と起債分5億9000万円(交付税措置分を除いた金額)の計6億8110万円。利子を含めて7億2000万円を10年で償還するとして、年7200万円。三郷村はこれを三郷ベジタブルの「賃料」とし、起債償還の財源に見込んでいた。実際に16年から毎年7100万円以上を償還しているが、三郷ベジタブルは7138万円の賃貸借料(使用料)を払っていない。平成16、17、18年度賃貸借料は据え置きないし猶予。19~25年度を年2500万円、26~47年度を年1700万円とし、支払いは25年度までゼロとした。
 三郷ベジタブル(安曇野菜園)は、年7138万円の施設使用料相当分を不当利得。安曇野市は施設使用料で起債償還の予定だったので、利得と損失は因果関係がある。平成16~18年度で計2億2000万円以上の金員を税金(一般会計)から補填していることになる。

《被告主張》原告は、安曇野市が2億2000万円以上の収入不足を余儀なくされていると主張している。しかし、本件施設使用料は支払期限が到来していないことから、予算計上されていない。安曇野市に三郷ベジタブルからの収入が不足した事実はない。税金で不足を補填した事実もない。
 安曇野市と三郷ベジタブルの法律関係は賃貸借契約でなく、賃料額を内容とする利得も損失も観念できない。原告は三郷ベジタブルの不当利得を安曇野市が返還請求すべきであるとしているが、三郷ベジタブルは施設使用料を負担しているのであり、その弁済期はまだ来ていない。したがって使用料を払わず、安曇野市の起債償還相当額の利得を得ていることにはならない。
起債償還負担と施設使用料は、別個の行為、原因に基づく。法律上の因果関係はない。以上

by misato_tomato | 2009-02-20 22:35 | 住民訴訟


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